コラム
COLUMN

小学校での英語教育

  • 2021.05.09
  • 最近の英語教育事情
小学校の英語教育は、2002年度に「総合学習の時間」を使ってスタート。2011年度から小学校5・6年生で「外国語活動」が必修となりました。2020年度からは、新学習指導要領に基づき、5・6年生のみが対象だった「外国語活動」が、小学校3・4年生に前倒しされ、5・6年生では、これまで実施された「外国語活動」が、英語の「教科」として設定されました。

「外国語活動」の内容は、各小学校の判断に任されていますが、基本的には歌をうたったり、絵カードを使ってゲームをしたり、簡単なあいさつをしたり、とおおよそ英語力が身に着く内容ではありません。英語に親しむ、簡単な語彙が身に着く、といった程度でしょう。

 高学年を対象とした「教科」としての英語についてはどうでしょうか。「教科」というからには、検定教科書が使われ、テストも行われます。「外国語活動」では遊び・会話中心ですが、「教科」になると読み書きも実施します。
 
 5・6年生での「教科」としての英語は、3・4年生の英語に親しむ「外国語活動」と、中学以降の本格英語教育のブリッジとして期待されますが、懸念されるのは時間数と講師の確保です。
 
 そもそもこれまで高学年で実施されてきた「外国語活動」は、総合学習の時間を活用して、年間35単位、つまり週1回程度実施されてきました。「教科」になると、年間単位は70となり、週2回実施する換算です。他の教科の時間数は減らさないことが前提ですので、どの学校も新たに設定する35単位の捻出に頭を痛めています。夏休みを利用する、ということも考えられますが、すべての家庭の承諾を得るのは困難でしょう。単純に週1時間増やす学校もあるようですが、職員会議や研修の時間が削られるため難しい学校も多いようです。そこで、モジュール学習の活用が着目されています。

 モジュール学習とは45分の授業を分割し、例えば15分の授業を3回実施することで、1回分とカウントすることです。モジュール学習を活用すれば、始業前の15分を週に3回取ることで、時間の確保が可能になります。ただ、15分でどういった内容ができるのか。子供たちも、朝の時間ということなので、授業モードではないかもしれません。

 もう一つの問題は講師の確保です。小学校教員の多くは、英語を教えることを学んでいませんし、経験もありません。英語担当の専科教員を採用できればよいですが、すべての公立小学校で採用することは難しいでしょう。ちなみに英語担当の専科教員に求められるレベルは英検準1級程度。小学校教員で英検準1級を持っている講師はどの程度いるでしょうか?

 英会話教室イーオンが2021年3月に発表した「小学校の英語教育に関する教員意識調査」では、2020年度に本格導入された「教科」としての英語の授業が「うまくいっている」「おおむねうまくいっている」と回答した教員は35%にとどまっています。一方、「あまりうまくいっていない」「うまくいっていない」と回答した教員は42%。「なんともいえない」が23%。保護者としては、大丈夫か?!となりますね。

 このように、日本の小学校における英語教育は始まったばかりで、まだまだ課題が多いといえます。

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